第2話/スーパーコンピューターに使われるべきハードディスク

スーパーコンピューターのランキングとは

歴史あるランキングから時流に合わせたランキング

スーパーコンピューターにはランキングがあります。まずはTOP500。これは一番歴史のあるスーパーコンピューターのランク付けになり、1993年から発表されています。もっとも権威はありますが、少々古い評価基準で計算の速度を元にランク付けをおこなっています。陸上で例えると様々な種目があるのに、100m走の速さを競っているイメージでしょうか。

そこで時代に合わせて実用的な性能を評価するGraph500(※1)とうランキングが生まれました。時流のビッグデータの処理、重いデータをどれだけ処理できるか等を評価します。さらにGreen500(※2)というスーパーコンピューターの消費電力を評価するランキングもあり、省エネは昨今の重要なテーマであることから重要視されているランキングです。

※1/Graph500において日本のスーパーコンピューター「京」は2014年~2017年まで5期連続で1位を取得しています。

※2/Green500の最新ランキング(2017年6月発表)では日本勢のスーパーコンピューターが上位4位まで独占しています。

スーパーコンピューターとハードディスク

スーパーコンピューターにはどのようなハードディスクが使われるべきか

「京」はかつてTOP500でも世界一(※3)でしたので、扱うデータの量も世界一でした。スーパーコンピューターは多くの計算をしますが、当たり前ですが計算の元になるデータ、その結果も膨大なデータ量になります。ということは使われるハードディスクの量も半端な数量ではないということです。 ですが、ハードディスクは故障するケースもあるのです。そこで「運用できる」「管理できる」という点が重要視されます。どんなに性能が良くても、パフォーマンスにばらつきがあるのは駄目ですね。私たちエンジニアが想定している範囲の中でちゃんと動いてくれる、そして管理できるという点。スーパーコンピューターほど巨大になると、これらが大事なポイントになります。

※3/2011年6月・11月にスーパーコンピューター「京」は世界一を達成

スーパーコンピューター「京」のハードディスク

実際にスーパーコンピューター「京」に使用されているハードディスクは何なのか。

スーパーコンピューター「京」を作るにあたっても富士通、研究所でも選りすぐりのエンジニアでやっています。数多くの優秀な人達があつまってきて、そういう人たちが「京」を作るにあたって、当然様々な部品を選んでいきます。そして、購買部の人たちもレベルが高く、シビアなチェックも入ります。 もちろん、ハードディスクありきの開発ではないため、数多くの選択肢の中から、多くの人の意見やチェックを経て採用されたのがシーゲートだった、という結果論にすぎないのです。

また、私自身、長年コンピューターに関わり、私が現在までやってきたエンタープライズ系の、いわゆるメインフレームといわれるモノや、UNIXサーバにも携わっておりました。そのストレージ装置として使われているハードディスクの多くがシーゲートのハードディスクでした。これは蓋をあけて初めて分かった、という話です(笑)

 

本コンテンツの文章化に際し、インタビュー内容を編集しております。

 

井上 愛一郎(いのうえ あいいちろう)

生年月日 昭和32年 4月23日(60歳)

現職

 

学校法人清風学園 常勤顧問

(国立研究開発法人理化学研究所 計算科学研究機構 元統括役)

専門 コンピュータのハードウェア
略歴
昭和55年 東京大学工学部舶用機械工学科 卒業昭和55年 富士フィルム株式会社 入社昭和58年 富士通株式会社 入社平成18年 富士通株式会社 サーバシステム事業本部 技師長

平成20年 富士通株式会社 次世代テクニカルコンピューティング開発本部長

平成21年 富士通株式会社 常務理事

兼 次世代テクニカルコンピューティング開発本部長

平成23年 富士通株式会社 常務理事

平成24年 富士通株式会社 フェロー

平成25年 独立行政法人理化学研究所 計算科学研究機構 統括役

平成29年 学校法人清風学園 常勤顧問

おもな業績 昭和55年富士フィルム(株)へ入社し、写真フィルム製造ラインのスタッフに従事。その後、昭和58年に富士通(株)へ入社、以来一貫して高性能コンピュータの頭脳ともいえるCPU(中央演算処理装置)の開発に従事。現在においてもCPUの中核となるような高性能化技術、高信頼機能を数多く開発した。さらに、理化学研究所と共同開発したスーパーコンピュータ「京」において、省電力と性能向上の相反する事柄を克服した世界トップクラスのCPUを実現させるとともに、システム全体の富士通側の開発責任者として、2011年6月、11月のTOP500(スーパーコンピュータの性能ランキングの一つ)にて、二期連続で計算性能世界一の達成に寄与した。
賞、
名誉
平成17年 経済産業省 第一回ものづくり日本大賞 優秀賞
(最先端半導体テクノロジー90nmを使用したサーバ用ハイエンドプロセッサの開発により表彰)平成18年 (財)新技術開発財団 市村産業賞(38回)貢献賞
(最先端半導体テクノロジーを使用したサーバ用プロセッサの開発により表彰)平成18年 (社)発明協会 関東地方発明表彰 発明奨励賞
(基幹サーバ用プロセッサの分岐予測制御技術の発明により表彰)平成23年 日経BP社 第10回日本イノベータ大賞 特別優秀賞
(スーパーコンピュータ「京」開発チーム代表)

平成24年 文部科学省 平成24年度文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)
(スーパーコンピュータ技術の開発育成により表彰)

平成25年 褒章(紫綬)を授与される(科学技術分野
(ハイエンドコンピュータを実現する高性能・高信頼CPU技術の開発)

学校法人 清風学園
https://www.seifu.ac.jp/