第5話/これからの日本に必要なこと、未来のエンジニアへ。

今、日本に必要な教育は?

技術そのものよりも新しい価値を生み出す力

今はやはり日本の製造業が落ちていて、勢いがないですよね。この点を考えてみると、やはり足りないと思うのが、技術そのものよりも新しい価値を生み出す力。

技術はとても重要ですが、技術を追求していくだけでは、新しい価値は生み出せません

よく例えられるのがApple社。スティーブ・ジョブズがiPhoneを生み出し、人のライフスタイルにまで影響を与えるようになった。iPhoneは実はまったく新しい発明ではなく、既に発売されていたiPod、既存の携帯電話、ネットワークをかけ合わせて出来たモノなのです。

これからは物事の本質を捉えて再構築する力を養うことが重要です。今、コンピューターが発展し、いろいろな可能性が生まれています。今こそ、組み合わせて新しい価値を作っていくべきです。そういう意味で、今学んでいる人たちが社会にでていくのが10年後と考えて、もっともっとエンジニアとして育って、世界・人類に貢献し、暮らしに影響を与えていって欲しいですね。

 

未来のエンジニアたちへのメッセージ

これからエンジニアになる人は、“みんなが求めるものを作る人”になって欲しい。

物事の本質を見つつ、もう一つの側面として“人間とは何なのか”という視点も必要です。人の本質が違わない以上、これからも同じモノやコトを求めると思います。それはあなたが求めるものか、友達か、世界の誰かか・・・世界は広くて事情は違うが、生きている人は同じ人間です。いろいろな人を幸せにするという気持ち、夢を大切にするという気持ち、これらを持ちながら新しい価値を生み出せるエンジニアになって欲しいですね。

自分の子供をエンジニアにしたいと思っている親世代へ

子供はきっといろいろなものを掴んでいる

私も子供を育ててきたから、少なくとも親の気持ちは分かりますが(笑)。子供が勉強できると、親としてそれはそれで嬉しいんですね。ですが学校での勉強は、学ぶ範囲は狭いと言えます。これから、もっともっと多くのことを経験していきます。学校教育で学ぶことは極一部でしかないので、より本質なことを学んで欲しいです。例えば小さな子どもが砂場で遊んでいるとします。そういう中でも子どもたちは何かを掴んでいます。

そして、小さな子どもは時々やらかすんですよね(笑)。とくにターゲットになりやすいのは電化製品。手先が器用になっていくと、分解しちゃったりするんですね(笑)。

その時、子どもたちは何かを学ぶとは限りませんが、きっと色々なものを掴んでいるかもしれません。このような経験から何らか芽が出てくるかもしれませんから、どうか怒らないで多めに見てやってほしい。大事なのは勉強以外にも興味を持つことです。子どもたちの自主性を大切にして、それを優しく応援して上げて欲しいです。

 

 

本コンテンツの文章化に際し、インタビュー内容を編集しております。

 

学校法人 清風学園
https://www.seifu.ac.jp/

井上 愛一郎(いのうえ あいいちろう)

生年月日 昭和32年 4月23日(60歳)

現職

 

学校法人清風学園 常勤顧問

(国立研究開発法人理化学研究所 計算科学研究機構 元統括役)

専門 コンピュータのハードウェア
略歴
昭和55年 東京大学工学部舶用機械工学科 卒業昭和55年 富士フィルム株式会社 入社昭和58年 富士通株式会社 入社

平成18年 富士通株式会社 サーバシステム事業本部 技師長

平成20年 富士通株式会社 次世代テクニカルコンピューティング開発本部長

平成21年 富士通株式会社 常務理事

兼 次世代テクニカルコンピューティング開発本部長

平成23年 富士通株式会社 常務理事

平成24年 富士通株式会社 フェロー

平成25年 独立行政法人理化学研究所 計算科学研究機構 統括役

平成29年 学校法人清風学園 常勤顧問

おもな業績 昭和55年富士フィルム(株)へ入社し、写真フィルム製造ラインのスタッフに従事。その後、昭和58年に富士通(株)へ入社、以来一貫して高性能コンピュータの頭脳ともいえるCPU(中央演算処理装置)の開発に従事。現在においてもCPUの中核となるような高性能化技術、高信頼機能を数多く開発した。さらに、理化学研究所と共同開発したスーパーコンピュータ「京」において、省電力と性能向上の相反する事柄を克服した世界トップクラスのCPUを実現させるとともに、システム全体の富士通側の開発責任者として、2011年6月、11月のTOP500(スーパーコンピュータの性能ランキングの一つ)にて、二期連続で計算性能世界一の達成に寄与した。
賞、
名誉
平成17年 経済産業省 第一回ものづくり日本大賞 優秀賞
(最先端半導体テクノロジー90nmを使用したサーバ用ハイエンドプロセッサの開発により表彰)平成18年 (財)新技術開発財団 市村産業賞(38回)貢献賞
(最先端半導体テクノロジーを使用したサーバ用プロセッサの開発により表彰)平成18年 (社)発明協会 関東地方発明表彰 発明奨励賞
(基幹サーバ用プロセッサの分岐予測制御技術の発明により表彰)

平成23年 日経BP社 第10回日本イノベータ大賞 特別優秀賞
(スーパーコンピュータ「京」開発チーム代表)

平成24年 文部科学省 平成24年度文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)
(スーパーコンピュータ技術の開発育成により表彰)

平成25年 褒章(紫綬)を授与される(科学技術分野
(ハイエンドコンピュータを実現する高性能・高信頼CPU技術の開発)